030529 ランダム
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Hobby the world?

Hobby the world?

伍話

シュトラールは、八咫からの連絡が来るまでは、今まで通りのプレイを楽しんでいた

そのシュトラールの後ろに一人の女の影

「――聯、一体何の用?」

女の正体は、シュトラールの古い知り合いだと言っていた聯というPCだった

「ねえ、シュトラール」

「…」

「私、強くなったんだよ?

シュトラールの足手まといにならないぐらいにさ」

「聯のチカラは間違ってるよ

――――に感染してまで得る力なんて」

「何で?何で、そんなこと言うの?

私は、ただシュトラールの力になりたいだけなのに…」

「力になりたいって思ってくれること自体は、すごく嬉しいよ

でも、僕は、異邦神なんかに感染した君を見たくない」

「この力を否定するの?

貴方だって感染者なのに…」

「僕は、感染者じゃない
僕は、監視者だ

異邦神と女神の」

「何でなの!?

感染者と何が違うっていうの!?」

「君は、異邦神に呑まれてしまった

己の力を過信し、PKという行為に走った

僕は、PKを良しとしていない

私は、PKを黙認している

聯――圓――貴方ならわかるでしょう?

私のリアルが今、どんな状況に置かれているのか」

「…」

「私は、無理に理解を求めてるわけじゃないの

私は、ただ、彼らが救った世界を守りたいだけ」

「また、彼ら!?一体、彼らが何をやってのけたっていうの?」

「…そろそろ潮時かもしれないね」

「何が潮時だっていうの!?」

「汝、PK聯とPKK虚無の堕天使の名の下に



PKKする」

それがシュトラール――華音――の聯――圓――との決別の言葉となった

「何が、虚無の堕天使シュトラールの名の下よ!

貴方も所詮は、ただの一般プレイヤーでしかすぎないのに!!」

聯…一体、僕らは、どこで道をたがえてしまったのだろう

「…」

きっと今の僕の瞳は、何も映していないのだろう

虚無の通り名の通りに虚空を見ているような無表情なのだろう

僕は、無言で鎌を真横に一閃した

聯のPCデータに傷ができる

その傷口から血を模したデータが流れ出てる

「ねぇ、痛い?

君が今までPKしてきた人は、どれくらいの痛みを味わったんだろうね?

その痛みに比べれば、どうってことないよね?」

聯の顔が引き攣っている

何時からだろう

PKKをしているときに冷静でいられるようになったのは

随分は前は、虚無のシュトラールって呼ばれてたのに…

今じゃ、虚無の後ろに堕天使なんて代名詞がついちゃって(苦笑)

一体、僕の何処が天使だったのだろうか

見た目は、女の子の様な男の子で、服は、黒をベースにしてある

ただ、始めた当初は、白をベースにしていた

このPCの色を変えた理由はひとつ

ある人への喪のため

でも、誰もそれを知らない

もしかしたら、白の時に天使だと思って、喪に伏してからの黒に変えたときから、堕天使になったのかな?

きっとそうだよね






…目の前の女が五月蝿いな

攻撃してくるみたいだから殺してしまおう

どうせ、シュトラールとはさして深い縁を持っているわけじゃないんだろうし

シュトラールの敵は、ボクの敵

シュトラールとボクは、表裏一体

シュトラールは、ボクをXIって呼んでる

理由は知らない

ボクは、シュトラールの守護者

碑文と似て異なるもの

「君は、シュトラールの何?」

「な、何言ってるの?」

「君は誰?

シュトラールにとっての君って?」

「貴方、華音じゃないの!?」

「華音?誰のことを言ってるの?

まあ、いいや

シュトラールに害をなす者は消させてもらうよ」

「なっ…」

「…オルレイザス」

「き、キャーッ!!…」

邪魔者は、消えたよ
安心していいよ
ボクの愛しいシュトラール





―――ボクの愛しい入れ物


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